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高次脳機能障害案件でも過失割合は重要
1 高次脳機能障害案件の賠償額は高額
⑴ 高次脳機能障害の等級
高次脳機能障害で後遺障害等級が認定される場合には、1級、2級、3級、5級、7級、9級という等級が認定される可能性があります。
※認知、言語、行動、記憶などの高次脳機能障害特有の障害がなく、「脳挫傷痕の残存」だけと判断された場合には、12級13号が認定される場合もあります。
※他の後遺障害等級と併合されて等級が繰り上がることもあります。
⑵ 高次脳機能障害の慰謝料
高次脳機能障害が認定された場合の後遺障害慰謝料は、赤い本(交通事故訴訟の実務本)基準の裁判基準ですと、1級2800万円、2級2370万円、3級1990万円、5級1400万円、7級1000万円、9級690万円と高額です。
⑶ 逸失利益
労働能力喪失率は、一番低い9級であっても35%と高いため、逸失利益(後遺障害のために得ることができなくなった将来の収入)だけでも数百万円から数千万円を超えることもあります。
⑷ まとめ
以上のように、高次脳機能障害の等級が認定された場合の損害賠償額は、(被害者側の過失が低ければ)数千万円以上になることが通常です。
2 過失割合も簡単にあきらめてはいけない
上記のように、高次脳機能障害案件の賠償額は高額であるため、過失割合も簡単には妥協できません。
5%~10%違うだけでも、数百万円から1千万円以上も金額が変わってくるからです。
過失割合を争うためには、以下の点が重要となります。
ア 刑事記録
人身事故として届け出ていれば、警察が、「実況見分調書」というものを作成していますので、それを確認して、当方に有利、相手方に不利な事情がないか弁護士が検討します。
示談段階ですと、保険会社は、被害者に有利な事情を無視して、基本過失割合のままで過失割合をまとめていることも多いので注意が必要です。
イ ドライブレコーダーなどの映像
ドライブレコーダーの映像があっても、確かめたい部分の映像がはっきりと写っているということもそう多くはないのですが、事故の状況を映している有力な客観的証拠となります。
前方だけを記録するタイプではなくて、360度全方位を記録するタイプですと、かなり過失割合の主張に強力な証拠となる可能性が高くなることもあるでしょう。
※過失割合と関係ないのですが、事故と治療との因果関係を争う場合には、特に車内まで記録できるタイプであれば、事故の衝撃でどのように体が屈曲・伸展したのかもわかり、比較的説得的な主張を展開できる可能性があります。
ウ 防犯カメラ、監視カメラなどの映像
これらの映像は、警察には提出できても、弁護士には見せてくれないということも少なからずありますが、もし入手できた場合には、有利な証拠として使えないか検討します。
エ 調査会社の利用
警察の実況見分調書に不備がある場合などは、調査会社を利用して、より正確な事故発生状況調査報告書を作成します。
事故現場の交通量を調査したり、夜間の明るさを調査したりもします。
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