「高次脳機能障害の後遺障害」に関するお役立ち情報
高次脳機能障害の後遺障害認定における第5級と第7級の違い
1 高次脳機能障害の後遺障害認定における第5級と第7級の違い
高次脳機能障害の後遺障害認定における第5級と第7級の違いは、認定基準と賠償金にあります。
⑴ 認定基準
第5級は、「神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの」である必要がある一方、第7級は、「神経系統の機能または精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの」であれば認定されます。
「特に」軽易な労務以外の労務に服せないか否かが第5級と第7級を分ける基準になります。
特に軽易な労務以外の労務に服することができないものか否かは、事故前と事故後の日常生活状況を記載する日常生活状況報告書や、主治医が記載する神経系統の障害に関する医学的意見、その他事故後の治療経過に関する診断書等の資料を総合的に考慮して判断されます。
そのため、日常生活状況報告書等に実際の症状より軽い症状が記載されてしまうと、場合によっては、本来得られるべき後遺障害等級が認定されないことがあります。
⑵ 第5級と第7級の賠償金の違い
ア 後遺障害慰謝料
第5級の後遺障害慰謝料(弁護士基準・裁判基準)は1400万円が目安になります(民事交通事故訴訟・損害賠償額算定基準参照、事案の内容等によって金額が変わる可能性があります)。
一方で、第7級の後遺障害慰謝料(弁護士基準・裁判基準)は1000万円が目安になります(民事交通事故訴訟・損害賠償額算定基準参照、事案の内容等によって金額が変わる可能性があります)。
このように、等級が2つ異なるだけで、後遺障害慰謝料だけでも400万円もの金額差が生じることがあります。
イ 後遺障害逸失利益
後遺障害逸失利益は、一般的には、基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数で計算することが多いです。
第5級と第7級の違いとしては、一般的には、労働能力喪失率が異なります。
第5級の場合には、労働能力喪失率は、一般的には、79%ですが、第7級の場合には、一般的には、56%となります。
たとえば、令和2年4月1日以降に発生した事故で、事故前年度の給与額が700万円の給与所得者、症状固定時の年齢45歳の男性であることを前提に計算すると、第5級の場合には、一般的には、700万円×79%(後遺障害等級第5級相当の労働能力喪失率)×労働能力喪失期間22年(就労可能年数67年-症状固定時の年齢45歳)に対応するライプニッツ係数15.937(なお、令和2年3月31日以前の事故の場合、基本的に、22年に対応するライプニッツ係数は13.163になります。)=8813万1610円になります(事案の内容等によって金額が変わる場合はあります)。
これに対して、第7級の場合には、一般的には、700万円×56%(後遺障害等級第7級相当の労働能力喪失率)×労働能力喪失期間22年(就労可能年数67年-症状固定時の年齢45歳)に対応するライプニッツ係数15.937(なお、令和2年3月31日以前の事故の場合、基本的に、22年に対応するライプニッツ係数は13.163になります。)=6247万3040円になります(事案の内容等によって金額が変わる場合はあります)。
このように、2つ等級が異なるだけで後遺障害逸失利益が2500万円以上異なることがあります。
2 適切な後遺障害認定を受けるためにも
適切な後遺障害等級認定を受けるためにも、適切な証拠の作成が不可欠です。
証拠の作成や保存は、手遅れになってしまうケースも少なくないので、高次脳機能障害でお悩みの方は、お早めに交通事故に詳しい弁護士に相談することをお勧めします。
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