「高次脳機能障害の後遺障害」に関するお役立ち情報
高次脳機能障害の後遺障害慰謝料と等級認定の重要性
1 高次脳機能障害の後遺障害等級と後遺障害慰謝料
高次脳機能障害の後遺障害等級は,1級,2級,3級,5級,7級,9級,があり,事案によっては12級,14級が認定されることがあります。
後遺障害が認定された場合には,賠償項目として,後遺障害慰謝料(後遺障害による精神的苦痛に対する賠償項目)が認められます。
後遺障害慰謝料は,事案の内容等によって異なりますが,一般的には
- 1級 2800万円
- 2級 2370万円
- 3級 1990万円
- 5級 1400万円
- 7級 1000万円
- 9級 690万円
- 12級 290万円
- 14級 110万円
が相場とされています(民事交通事故訴訟・損害賠償額算定基準)。
このように等級が1つないし2つ異なるだけでも,金額が大きく異なります。
2 高次脳機能障害の等級認定基準
高次脳機能障害による後遺障害が認定される場合,以下のとおり,症状の程度などによっていずれの等級になるかが決まります。
⑴ 1級1号
神経系統の機能または精神に著しい障害を残し,常に介護を要するもの
⑵ 2級1号
神経系統の機能または精神に著しい障害を残し,随時介護を要するもの
⑶ 3級3号
神経系統の機能または精神に著しい障害を残し,終身労務に服することができないもの
⑷ 5級2号
神経系統の機能または精神に著しい障害を残し,特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの
⑸ 7級4号
神経系統の機能または精神に障害を残し,軽易な労務以外の労務に服することができないもの
⑹ 9級10号
神経系統の機能または精神に障害を残し,服することができる労務が相当な程度に制限されるもの
3 主治医に症状を適切に伝えることが大切
主治医は事故前の被害者の性格や能力・行動を知らないことが多いです。
そのため,事故前と事故後で,被害者の性格や行動がどのように異なっているのか適切に伝えることが大切です。
たとえば,事故前はとても優しかった方が,事故後,怒るようになった場合,事故前の性格を伝えていなければ,主治医は,事故前から怒りっぽい性格の人だったと誤解してしまう可能性があります。
また,事故前は記憶力のとても良かった方が,事故後,平均的な記憶力になった場合,事故前の能力を伝えていなければ,主治医は,見逃してしまう可能性があります。
主治医が症状を把握していないことにより,本来得られるべき等級よりも低い等級が認定されてしまう可能性がありますので,ご注意ください。