「関東地方にお住まいの方」に関するQ&A
東京に住んでいるのですが、高次脳機能障害について相談できますか?
1 東京の方は当法人にご相談ください
⑴ 東京駅近くに事務所があります
東京で交通事故による高次脳機能障害にお悩みの方は、東京駅から徒歩3分の場所にある弁護士法人心 東京法律事務所にお気軽にご相談ください。
東京駅は、文京区や港区、台東区といった隣接するエリアや、新宿・渋谷方面からのアクセスも良好です。
八王子や立川、吉祥寺からは中央線を使ってお越しいただけます。
当事務所は、東京駅からだけでなく、日本橋駅からも歩いてお越しいただける立地にあります。
そのため、日本橋周辺にお勤めの方や、東京メトロを利用されている方にとってもご利用いただきやすい事務所です。
⑵ 銀座、池袋にも事務所があります
銀座一丁目駅から徒歩4分の場所に弁護士法人心 銀座法律事務所があります。
当事務所は、宝町駅、京橋駅からも徒歩圏内の場所に位置しており、中央区にお勤めの方にとって足を運びやすい事務所かと思います。
また、弁護士法人心 池袋法律事務所は、池袋駅から徒歩3分の場所にあり、こちらも駅近くの便利な場所に位置しております。
ご利用いただきやすい事務所をお選びいただければと思います。
⑶ 電話・テレビ電話相談にも対応
交通事故のご相談は、事務所にお越しいただくほか、お電話でご相談いただくことも可能です。
テレビ電話相談にも対応しておりますので、弁護士の顔が見える形で相談することができます。
お仕事の都合や体調の関係上ご来所が難しい場合でも、ご自宅からご相談いただける体制を整えておりますので、ご安心ください。
東京で高次脳機能障害についてお悩みがある方は、まずは当法人にご連絡ください。
2 高次脳機能障害のご相談を承ります
当法人は、交通事故に力を入れており、豊富な実績とノウハウがあります。
高次脳機能障害のような難易度の高い案件もお任せください。
高次脳機能障害について、例えば、「後遺障害申請に不安がある」「損害賠償金について知りたい」「家族が交通事故に遭い高次脳機能障害と診断されたがどのように対応すべきかわからない」といったお悩みや不安を抱えている方は、どうぞお気軽に当法人にご相談ください。
高次脳機能障害の後遺障害申請サポートから示談交渉まで、当法人の弁護士がしっかりと対応させていただきます。
3 ご相談の費用について
弁護士に依頼すると高額な費用がかかりそうだからという理由で、相談を先送りにしていたり、相談せずに自分で対応しようと思われている方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、高次脳機能障害は一見して明らかな障害とは異なるため、高次脳機能障害の等級認定が容易ではありません。
やはり高次脳機能障害に詳しい弁護士が適切な対応やアドバイス、サポートをした方が、より良い結果となる可能性が高いです。
交通事故の相談には弁護士費用特約を利用できる事務所も少なくありません。
当法人でも、交通事故のご相談では、すべての保険会社の弁護士費用特約をご利用いただけます。
弁護士費用特約をご利用いただきますと、保険の範囲内であれば、保険会社から弁護士費用が支払われますので、費用のご負担を気にせずに弁護士にご依頼いただけます。
自動車保険だけでなく、火災保険や傷害保険などに付いていることもありますので、一度ご確認いただくとよいかと思います。
弁護士費用特約がない場合でも、原則無料で高次脳機能障害のご相談を承っております。
また、妥当な損害賠償額を無料で診断するサービスや、妥当な後遺障害の等級を無料で予測するサービスもご用意しておりますので、これらも併せてご利用ください。
4 高次脳機能障害とはどのような症状か
そもそも、交通事故に遭って初めて高次脳機能障害という言葉を耳にしたという方もいらっしゃるかと思います。
高次脳機能障害はあまり身近ではないかもしれませんので、その症状について簡単にご説明いたします。
高次脳機能障害では、物事に集中できない「注意障害」、記憶力が悪くなったり思い出せないことが多くなる「記憶障害」、物事を計画的に進めることができなくなる「遂行機能障害」、感情のコントロールができない「社会的行動障害」といった症状があります。
いずれの症状も、高次脳機能障害前の状態を知っている方でないと変化に気付くことが難しいかと思います。
このような症状にお気付きの際は、事故前と比べてどのような変化があるのかを主治医に適切に伝えることが大切です。
5 高次脳機能障害の後遺障害
後遺障害は、後遺障害等級を認定する機関において調査がなされ、等級が認定される仕組みとなっています。
高次脳機能障害が交通事故による後遺障害として適正な等級認定を受けるためには、適切な申請を行うことが求められます。
後遺障害の申請は、加害者側の損害保険会社が申請を行う事前認定と、被害者自らが請求を行う被害者請求があります。
被害者請求であれば、弁護士に依頼して後遺障害申請サポートを受けながら、適切な資料を集めて提出することができますので、こちらの申請方法をおすすめします。
後遺障害の等級認定を受けた場合は、後遺障害慰謝料を請求することができます。
後遺障害等級に応じて、慰謝料として認定される額がある程度決まっていますので、適切な後遺障害等級の認定を受けることが大切です。
また、介護の必要が生じた場合は、将来介護費を請求することができます。
JR東京駅から弁護士法人心 東京法律事務所へのアクセスについて
1 八重洲北口の改札を出たら大丸方面へ
当事務所の最寄りの改札は八重洲北口です。
改札を出たらJRのきっぷうりばを右手に、大丸方面へまっすぐお進みください。
2 駅の外に出たら横断歩道を渡ってください
駅の外に出て左前方に横断歩道があります。
まずは向かい側に大黒屋が見える横断歩道を渡ってください。
3 大黒屋の前を左折してください
横断歩道を渡った後、大黒屋前を左折すると、前方に東京建物不動産販売株式会社のビルが見える横断歩道がありますので、こちらを渡ってください。
4 東京建物不動産販売株式会社の前を右折してください
東京建物不動産販売株式会社のビルを左手にまっすぐ進んでいただきますと、前方におかしのまちおか日本橋店が見える交差点があります。
交差点は渡らず左へ曲がってください。
5 ファミリーマート八重洲一丁目店が見えるまで進んでください
進んでいただきますと、1階にファミリーマート八重洲一丁目店のあるビルが見えます。
こちらの八重洲加藤ビルデイングの6階に当事務所があります。
ファミリーマート入口の右奥にエレベーターがございますので、6Fまでお越しください。
日本橋駅から弁護士法人心 東京法律事務所へのアクセスについて
1 B0出口から地上に出てください
当事務所に近い出口はB0出口です。
2 出口を出たら右に進んでください
日本橋南郵便局を右手にまっすぐ進み、1つ目の角に喫茶室ルノアール日本橋高島屋前店の看板が見えますので、そこを右折してください。
3 セブンイレブンが見える交差点まで進んでください
喫茶室ルノアールの看板を左手にまっすぐ進むと、セブンイレブン日本橋2丁目店が見える交差点がありますので、横断歩道を渡ってください。
4 横断歩道を渡ったら左折してください
セブンイレブンが見える横断歩道を渡りましたら、左折して、ファミリーマートが見えるまで進んでください。
1階にファミリーマート八重洲一丁目店のあるビルの6階に当事務所があります。
ファミリーマート入口の右奥にあるエレベーターで6階にお越しください。
仙台に住んでおり高次脳機能障害と診断されました。弁護士法人心は適切なサポートをしてくれますか? 池袋に住んでいるのですが、高次脳機能障害について相談にのってもらえますか?
来所せずに高次脳機能障害の相談が可能
高次脳機能障害のご相談については、東京駅の近くにある事務所へご来所いただくほか、お電話でもしていただくことが可能です。
高次脳機能障害と後見制度
1 高次脳機能障害の症状
高次脳機能障害は、交通事故などで脳損傷が生じ、それによって認知(記憶・注意・行動・言語・感情など)の障害が起こることをいいます。
障害の内容は、物の置き場所を忘れるといった「記憶障害」、ぼんやりしていてミスが多いといった「注意障害」、自分で計画を立てて物事を実行することができないといった「遂行機能障害」、思い通りにならないと大声を出すといった「社会的行動障害」に分類されることが一般的です。
高次脳機能障害の症状は、本人に自覚がないこともあるため、同居の家族など周囲の方が注意して見守ることが重要となります。
2 成年後見制度とは
成年後見制度は、精神上の障害(知的障害、精神障害、認知症など)により判断能力が十分でない方が不利益を被らないように、家庭裁判所に申立てをして、その方を援助してくれる人(成年後見人)を付けてもらう制度です。
民法7条に「精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者については、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、未成年後見人、未成年後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人、補助監督人又は検察官の請求により、後見開始の審判をすることができる。」と規定されています。
成年後見の申立てを行った場合、家庭裁判所が成年後見人を選任しますが、身近な親族、弁護士や司法書士等の専門家が選任されることが多いです。
3 高次脳機能障害と成年後見
高次脳機能障害となった方の中には、事理弁識能力(物事を分別する能力)を欠く状態になる方がいます。
そのような方が、契約内容などを理解しないまま、重要な取引や契約などを行うと、不利益を被る可能性を否定できません。
そこで、このような場合には、本人の不利益を避けるため、適切な管理者として成年後見人を選任して、成年後見人が本人のために契約締結など行います。
交通事故によって高次脳機能障害になり、本人に事理弁識能力がないような場合には、成年後見制度を用いて、後見人を選任することをお勧めします。
4 高次脳機能障害の相談は弁護士法人心へ
弁護士法人心では、交通事故担当チームをもうけ、高次脳機能障害を含む交通事故案件を集中的に取り扱っており、多くの知識、経験、ノウハウを蓄積しています。
高次脳機能障害でお悩みの方は、ぜひ弁護士法人心にご相談ください。
高次脳機能障害の示談ではどのようなことが争点となりやすいか
1 高次脳機能障害の後遺障害
交通事故で高次脳機能障害になった場合、治療終了時点(症状固定と診断された時点)での症状によっては、後遺障害が認定されることがあります。
そのため、高次脳機能障害になった場合には、まず後遺障害の等級認定申請を検討することが一般的です。
高次脳機能障害の後遺障害については、症状によって、1級、2級、3級、5級、7級、9級のいずれかが認められることがあります。
2 高次脳機能障害の損害項目
高次脳機能障害で後遺障害等級が認定された場合、主な損害項目としては、治療費、休業損害、入通院慰謝料、通院交通費、後遺障害慰謝料、逸失利益といったものがあります。
また、症状によって、介護関連費用や自宅改装費が問題となることもあります。
3 示談で争点となりやすいこと
高次脳機能障害の症状は人によって異なるため、それぞれの症状に応じて、個別具体的な損害項目が問題となること多いです。
以下の項目は、特に示談で争点となりやすい傾向があります。
①治療期間
高次脳機能障害は、骨折などのように完治したかを判断することが難しいこと、多くの場合はリハビリを通じて徐々に改善していくことから、治療(リハビリ)期間が長期に及ぶ場合に、相手方が、事故から一定期間経過後の治療は必要なかった等と治療期間を争ってくることがあります。
②逸失利益
高次脳機能障害で後遺障害等級が認定された場合、通常は、認定された等級をもとに逸失利益を計算して相手方に請求します。
逸失利益は、通常、基礎収入、労働能力喪失率、労働能力喪失期間等をもとに計算しますが、相手方が、労働能力喪失率や労働能力喪失期間を争ってくることがあります。
③将来介護費
高次脳機能障害の症状が重く、将来にわたって介護が必要になると思われる場合には、相手方に対して将来介護費を請求することが多いですが、相手方が必要性や期間を争ってくることがあります。
④自宅改装費
高次脳機能障害の症状によっては、自宅で生活するために自宅を改装する必要があることもあり、その場合には相手方に対して自宅改装費を請求しますが、必要性や改装の内容について相手方が争ってくることがあります。
4 高次脳機能障害の相談は当法人へ
交通事故による高次脳機能障害は、後遺障害等級の認定申請や損害額の算定など、専門的な知識、経験、ノウハウが重要になります。
当法人は、交通事故担当チームが、高次脳機能障害を含む交通事故案件を集中的に扱っており、多くの知識、経験、ノウハウを蓄積しています。
交通事故の高次脳機能障害のご相談は、当法人までご連絡ください。
高次脳機能障害となった場合の示談の時期
1 高次脳機能障害と後遺障害
交通事故で高次脳機能障害になった場合、治療終了時点(症状固定と診断された時点)での症状によっては、後遺障害が認定されることがあります。
そのため、高次脳機能障害になった場合には、まず後遺障害の等級認定申請を検討することが一般的です。
2 高次脳機能障害の損害項目
交通事故による高次脳機能障害で後遺障害等級が認定された場合の主な損害項目としては、治療費、休業損害、入通院慰謝料、通院交通費、後遺障害慰謝料、逸失利益といったものがあります。
また、症状によっては介護関連の費用が損害として認められることもあります。
どのような損害が請求できるかについては、症状によって変わりうるので、弁護士などの専門家に相談することをお勧めします。
3 高次脳機能障害の場合の示談の時期
高次脳機能障害になった場合の最終的な損害額は、認定された後遺障害等級によって変わるので、通常は、後遺障害等級の認定結果が出た後に損害額を計算し、相手方に請求していくことになります。
相手方が任意保険に加入している場合、相手方保険会社と交渉を行うのが一般的です。
話し合いによって合意に至れば示談書を取り交わすことになります。
高次脳機能障害になった場合の家屋の改造費について
1 高次脳機能障害の後遺障害等級
交通事故によって高次脳機能障害になった場合、症状によって、後遺障害等級の1級、2級、3級、5級、7級、9級が認められることがあります。
例えば、神経系統の機能や精神に著しい障害が残り、常に介護を必要とするような症状の場合には1級、随時介護を必要とするような症状の場合には2級、終身労務に服することができないよう症状の場合には3級、特に軽易な労務以外の労務に服することができない症状の場合には5級が認められることになります。
2 高次脳機能障害に伴う家屋改造費
高次脳機能障害によって、特に介護を必要とするような症状(おおむね後遺障害等級1級から3級の症状)になった場合、家屋の改造費などを請求できることがあります。
例えば、車いすでの生活が必要となった場合に、自宅をバリアフリー(段差をなくす、スロープを付ける、車いす用のトイレや浴室にするなど)にするための工事費用が認められることがあります。
家屋改造費は、通常、後遺障害の症状や程度をふまえて、必要性(家屋改造が必要かどうか)、相当性(家屋改造の内容や金額が相当かどうか)がある場合に認められます。
ただし、家屋の改造が他の同居者の利益にもなるような場合には、その分減額されることもあります。
家屋改造費の請求にあたっては、後遺障害の状況をふまえ、改造の必要性、相当性があることを主張立証することが重要となるため、弁護士などの専門家に相談することをお勧めします。
3 高次脳機能障害の相談は当法人へ
交通事故による高次脳機能障害に伴う家屋改造費の請求は、専門的な知識、経験、ノウハウが重要になります。
交通事故の高次脳機能障害でお困りの方は、ぜひ弁護士法人心 東京法律事務所までご相談ください。
高次脳機能障害について依頼する場合の弁護士費用
1 交通事故による高次脳機能障害
高次脳機能障害とは、交通事故によって脳に損傷を負い、物の置き場所をすぐに忘れるといった記憶障害、ぼんやりしていてミスが多いといった注意障害、自分で計画を立てて物事を実行することができないといった遂行機能障害、思い通りにならないと大声を出すといった社会的行動障害といった症状があり、日常生活や社会生活に制約がある状態をいいます。
2 高次脳機能障害における後遺障害等級
交通事故によって高次脳機能障害になった場合、症状によって、後遺障害等級の1級、2級、3級、5級、7級、9級が認められることがあります。
高次脳機能障害は、症状によって認定される等級が変わりうるので、後遺障害の申請にあたっては、症状や日常生活・社会生活上の制約などを正確に把握し、適切な資料を提出することが重要になります。
3 高次脳機能障害についての弁護士費用
一般的な法律事務所では、弁護士に相談する場合に相談料が必要となるほか、事件を依頼する場合には、着手金と報酬金が必要となります。
着手金は、通常、事件の依頼時に経済的利益をもとに算定することが多いため、高次脳機能障害のように損害額が大きくなる場合には、多額の着手金が必要となることもあります。
それに対して、当法人では、交通事故の相談は基本的に相談者の方に費用負担がかからないように対応しております。
また、弁護士にご依頼いただく場合にも、基本的に着手金は0円で対応しており、できるだけ依頼者の方に費用負担がかからないようにしております。
そして、最終的に事件を解決でき、加害者側から賠償金が支払われた場合に、その金額によって報酬金を精算させていただいております。
4 高次脳機能障害の相談は当法人へ
交通事故による高次脳機能障害は、事故直後の状況や事故後の経過などをふまえて判断する必要があり、経験やノウハウが重要になるため、多くの交通事故案件を扱っている弁護士にご相談することをお勧めします。
当法人は、できるだけ相談者の方に費用負担が生じないように対応しており、安心してご相談いただける体制を整えております。
交通事故の高次脳機能障害でお困りの方は、ぜひ弁護士法人心 東京法律事務所までご相談ください。
高次脳機能障害を弁護士に依頼する利点について
1 今後の手続きや見通しを把握できる
交通事故によって高次脳機能障害になった場合、今後の対応はどうすればよいのか、後遺障害等級はどうなるのか、損害賠償はどうなるのかなど、様々な不安や疑問が生じると思います。
弁護士に相談することによって、このような不安や疑問を解消し、今後の手続きや見通しを把握することが可能になります。
2 適切なアドバイスを受けられる
高次脳機能障害が交通事故によって生じたかどうかは、脳の損傷や脳室の変化の有無、症状が発現した時期、事故後の神経心理学的検査の結果等を考慮して判断することになります。
特に、事故直後の脳の損傷状況や意識障害の有無については、重要な要素になるので、交通事故によって頭部に衝撃を受けた場合などは、できるだけ早く詳しい検査を受けることが必要になります。
弁護士に相談することによって、当面の対応等について適切なアドバスを受けることができます。
3 保険会社への対応や交渉を依頼できる
交通事故に遭った場合、通常は、相手方の任意保険会社の担当者とやり取りをすることになります。
特に高次脳機能障害の場合には、当面の治療費や休業損害など、相手方の保険会社と協議すべきことが多くありますが、通院や仕事をしながらご自身でやり取りを行うことは、時間的にも精神的にも非常に大きな負担となります。
また、事故の被害者と相手方の保険会社との間には、知識やノウハウに大きな差があるため、場合によっては不利益を被ることも考えられます。
保険会社への対応や交渉を弁護士に依頼することによって、時間的、精神的な負担を軽減し、適切な賠償を得ることが期待できます。
4 高次脳機能障害のご相談は当法人へ
当法人は、高次脳機能障害を含む多くの交通事故案件を扱っており、交通事故に関する知識・ノウハウ・経験を蓄積しています。
また、当法人は、駅近くに事務所を構えているほか、電話での相談にも対応しており、交通事故の被害者の方が相談しやすい環境を整えています。
東京にお住まいで、高次脳機能障害でお困りの方は、どうぞ当法人までご相談ください。
高次脳機能障害の等級申請
1 交通事故による高次脳機能障害
交通事故によって頭部に衝撃を受け、頭部外傷を負ったり意識障害があったりした場合、高次脳機能障害が生じる可能性があります。
高次脳機能障害の症状としては、物事をすぐに忘れるといった記憶障害、ぼんやりしていてミスが多いといった注意障害、人に指示してもらわないと何もできないといった遂行機能障害、思い通りにならないと大声を出すといった社会的行動障害といったものがあります。
2 高次脳機能障害の可能性がある場合の対応
高次脳機能障害は、被害者自身には自覚がないこともあるため、家族や周りの方が、事故の前後で被害者の方の言動に変わった様子がないかを注意してみることをお勧めします。
事故前と事故後で変わった点や気になる点がある場合には、メモをするなど記録を残し、早めに専門医に相談してください。
また、高次脳機能障害の可能性がある場合、後遺障害の等級申請を行うことも多いため、早めに弁護士に相談することをお勧めします。
3 高次脳機能障害の等級申請の方法
高次脳機能障害の等級申請は、損害保険料率算出機構に後遺障害診断書、日常生活状況報告書などの必要書類を提出して行います。
申請方法には、相手方保険会社を通じて手続きを行う「事前認定」という方法と、被害者自らが手続きを行う「被害者請求」という方法があります。
「事前認定」は、基本的に相手方保険会社が申請書類などを準備してくれるので被害者の方の負担は軽くなりますが、必要な資料等が抜け落ちる可能性を否定できないほか、被害者の方の日常の状況をどこまで正確に把握してもらえているか不安があるかと思います。
そのため、高次脳機能障害の等級申請を行う場合には、資料の内容を確認したうえで必要な資料を提出することができる「被害者請求」の方法をとることをお勧めします。
4 高次脳機能障害の後遺障害等級
交通事故によって高次脳機能障害になった場合、症状によって、後遺障害等級の1級、2級、3級、5級、7級、9級が認められることがあります。
例えば、神経系統の機能や精神に著しい障害が残り、常に介護を必要とするような症状の場合には1級、神経系統の機能や精神に障害が残り、服することができる労務が相当な程度に制限されるような症状の場合には9級と認められる可能性があります。
高次脳機能障害は、症状によって認定される等級が変わりうるので、どのような症状が生じているのか、事故前と事故後で状態がどのように変わったか、日常生活や社会生活にどのような制約が生じているか、などを正確に把握し、適切な資料を提出することが重要になります。
5 高次脳機能障害の相談は当法人へ
交通事故による高次脳機能障害の等級は、事故前後の状況や事故後の経過などをふまえて判断されるため、経験やノウハウが重要になります。
交通事故の高次脳機能障害でお困りの方は、ぜひ弁護士法人心 東京法律事務所までご相談ください。
高次脳機能障害と介護費用
1 はじめに
高次脳機能障害となり、これを理由とする介護費用を加害者側に請求したが、加害者側がこれを争う場合、まず介護の必要性が認められるかどうかについて検討し、必要性が認められる場合に、費用の相当性について検討することとなります。
2 介護の必要性について
⑴ 後遺障害等級に基づく判断
高次脳機能障害となった場合、その症状の重さに応じて、後遺障害等級が認定されることがあります。
自動車賠償責任保険における後遺障害等級認定において、高次脳機能障害を理由とする後遺障害等級は、最も障害の重い等級から1級(常に介護を要するもの)、2級(随時介護を要するもの)、3級(終身労務に服することができないもの)、5級(特に簡易な労務以外の労務に服することができないもの)、7級(軽易な労務以外に服することができないもの)及び最も軽い9級(服することができる労務が相当な程度に制限されるもの)とされています。
従前の裁判例の傾向によると、1級から3級に認定された場合は、介護の必要性が認められ、5級以下の事例について、個別事案ごとに、介護の必要性が判断される傾向にあります。
3級では労務に服することができないとされるのに対し、5級では、制限はあるものの労務に服することができるとされているため、ここを境として、介護の要否について上記の区分がされているものと考えられます。
⑵ 従前の介護の状況に基づく判断
介護の要否について争いとなった場合、従前から介護がされており、その介護の内容及び金額について相当である場合(過剰とは認められない場合)には、全く新たに介護を開始する場合と比べ、介護の継続が認められやすい傾向があります。
従前の被害者の状況と、介護の内容を対比することにより、介護の必要性がわかりやすいことが理由と考えられます。
3 介護費用の相当性について
⑴ 介護費用の基準について
交通事故における慰謝料は、事案ごとの不公平をなるべくなくすため、入通院期間や後遺障害等級に応じて一定の基準となる金額があり、裁判もこれを踏まえて行われています。
しかし、介護費用については、上記のような一定の基準はなく、個別事案(障害の程度と具体的な介護の内容)ごとに、必要な費用であるかについて検討することとなります。
⑵ 将来の介護費用について
現時点で介護の必要性があり、今後の症状の改善の見込みがない場合には、将来の介護費用を請求することができます。
近親者による介護の場合、日額8000円が目安となっており、介護業者に依頼する場合は実費に基づいて算定されることとなります。
なお、上記いずれの場合でも、将来分をまとめて受領する場合には、中間利息を控除することとされています。
控除による減額を避けるため、被害者によっては、定期金による賠償(毎月あるいは毎年決まった金額を支払う旨の賠償)を請求することもできますが、この場合、支払途中で、相手の資力が不足するなどの理由により、支払が滞ることに対する危険性について考慮する必要があります。
⑶ 家屋改造費
これも、高次脳機能障害の症状や、日常生活上どのような支障があるかを考慮して、改造費が必要な費用かどうかが判断されることとなります。
ただし、家屋改造の場合、これによって、被害者本人のみならず家族らも利益を受ける場合があり(例:被害者のためにエレベーターを設置したが、家族らも使用しているような場合)、このような場合には、被害者ではない家族らに利益が発生していることを考慮して、賠償の対象を費用の一部のみ(費用のうち〇割について賠償の対象とするなど)に限定した裁判例があります。
高次脳機能障害における慰謝料
1 事故によるけがに対する2つの慰謝料
事故によりけがをした場合、慰謝料は、治療期間・日数に応じて支払われる慰謝料である傷害慰謝料(入通院慰謝料)と、後遺障害が認定された場合に、後遺障害に対して支払われる慰謝料である後遺障害慰謝料の2つがあります。
いずれの慰謝料も、被害者の間で不公平が生じないように、以下にお伝えするとおり、一定の基準がありますが、具体的な事案に応じて、基準が修正されることもあります(例:けがの軽重に応じて慰謝料額が増減される場合など)。
2 傷害慰謝料
傷害慰謝料については、自動車賠償責任保険における基準と、裁判あるいは弁護士が関与して行われる示談(裁判前に賠償額について合意すること)における基準とで、異なっています。
⑴ 自動車賠償責任保険における基準
治療期間の合計日数と、入通院日数を2倍した日数とのどちらか少ないほうの日数に、1日当たり4300円を乗じた金額が慰謝料として支払われます。
ただし、けがに対する自動車賠償責任保険の保険金上限額は120万円であり、この中には、慰謝料の他に医療費や休業損害に対する支払も含まれるため、慰謝料全額が支払われない場合もあります。
例えば、120万円のうち、すでに医療費が100万円支払われている場合は、実際の慰謝料が20万円を超えていても、自動車賠償責任保険からの慰謝料の支払は20万円にとどまることになります。
⑵ 裁判等における基準
裁判等における基準では、日数ではなく、治療期間に応じた金額が支払われることとなります。
高次脳機能障害の場合、治療期間が長期に及ぶ場合があり、このような場合には、慰謝料も期間に応じて増額されることになります。
3 後遺障害慰謝料
⑴ 後遺障害慰謝料について
後遺障害慰謝料は、自動車賠償責任保険(以下「自賠責保険」といいます。)において、所定の後遺障害等級に認定された場合に支払われます。
このため、まずは、上記認定を得ることが必要となります。
高次脳機能障害の場合、他の後遺障害とおなじく、医師により作成された後遺障害診断書の提出が必要となります。
また、高次脳機能障害に特有の資料として、医師の意見書や、日常生活報告(高次脳機能障害のため、どのような日常生活上の支障が生じているかについて記載した書面)などの提出が必要となります。
⑵ 自賠責保険からの支払
自賠責保険において後遺障害が認定されると、後遺障害の等級に応じて、所定の保険金が支払われます。
高次脳機能障害の場合、自賠責保険における後遺障害等級は、障害の程度が最も軽い9級から、最も重い1級の間で認定されることとなります。
そして、9級の場合は616万円、1級の場合は3000万円を上限として自賠責保険より保険金が支払われますが、上記は、慰謝料と逸失利益(後遺障害を負ったことにより労働能力の低下ひいては収入の低下が生じることによる損害)との合計金額となります。
⑶ 後遺障害に対する慰謝料の基準額
自動車賠償責任保険からの支払だけでは、実際に生じた損害額全部をまかなうことができないことが通常であるため、通常は、慰謝料を含めた損害全体の合計額を算定し、これから、相手方の既払金及び自動車賠償責任保険からの支払分を引いた残りの金額を相手方に請求することとなります。
慰謝料の基準額ですが、9級で690万円、1級で2800万円となっています。
4 おわりに
上記の記載金額は、あくまで目安であり、具体的な状況により増減することがあります。
高次脳機能障害において慰謝料を請求する場合、高額となることがありますので、専門家である弁護士に相談されることをお勧めします。
高次脳機能障害で裁判になる場合について
1 示談と裁判の違い
交通事故に遭った際、相手方が自動車保険の保険会社と契約しており同社より賠償金を支払ってもらえる場合、あるいは保険会社との契約はなくとも、相手方本人からの支払をしてもらえる可能性がある場合には、いきなり裁判になることはなく、最初は被害者・その代理人弁護士と、加害者の加入する保険会社あるいは加害者本人との話し合いから始まります。
相手方が自動車保険に加入している場合、被害者が医療機関を受診したことによる損害(医療費、慰謝料など)を算定するための資料(診断書及び診療報酬明細書)について、保険会社が持っていることが多いため、まずはこれを取り寄せ、検討します。
その上で、被害者の側で、相当と考える損害額を提示し、協議した結果、双方が合意できれば、示談成立として所定の金額が支払われます。
多くの事故は、裁判となる前に、示談(話し合いによる合意)で終わっているのが実情です。
示談の場合、裁判と異なり、再場所への出頭の必要がなく、保険会社との間で、電話や書類のやりとりを通じて協議することができるため、裁判と比べ、時間と費用を大幅に節約することができます。
これに対し、裁判は、期日が決められ、この期日のたびに、所定の書類や証拠の提出を行う必要があります。
期日は、概ね1か月に1回の割合となるため、期日がなく、前倒しで進行することも可能な示談に比べ、結論が出るまでの時間がかかります。
裁判所まで出頭するための時間や費用も要しますし、証拠の提出にも費用を要することがあります(費用を支払って専門家に意見書(鑑定書)を作成してもらい、これを提出する場合など。)。
ただし、示談はあくまで双方の合意が必要であり、合意できない限りは、示談とはなりません。
これに対し、裁判は、双方当事者の意向にかかわらず、判決という形で、裁判所が結論を示し、これが確定することになるため、裁判には、当事者どうしでは合意できないときに、一定の結論を示し確定させるという、最後の砦としての役割があります。
2 裁判となる場合
上記のとおり、多くの場合は裁判とならずに示談で終わることが多いにもかかわらず、裁判をすることが必要となってしまう場合として、以下の場合をあげることができます。
⑴ 事故状況に争いがある場合
事故状況や、これを前提とした過失割合は、賠償金の金額の算定に直接関わる事項であるため、これについて双方の合意が得られないと、示談(話し合い)で解決することはできず、裁判で解決せざるを得なくなります。
昨今は、ドライブレコーダーを搭載した車両が増えてきたことにより、事故状況が争われる事故の件数について、以前より減ってきてはいますが、なおドライブレコーダーがない車両による事故も多くあります。
事故状況について、当事者間で共通の見解を得ることができない場合は、事故当事者の主張を対比し、証拠と照らし合わせて、どちらの主張が正しいか判断することになります。
そして、上記の対比において、書面だけでは判断できず、双方の当事者の言い分を直接聞いて判断するためには、法廷にて証言する以外に方法がないため、裁判によらざるを得ないことになります。
⑵ 過失割合に争いがある場合
過失割合とは、事故が起きた際、事故の当事者それぞれが事故に対して責任を負う割合を定めたものです。
例えば、過失割合について、Aが10、Bが0の場合は、AがBに対し、Bの損害額全部を賠償する一方、AはBからの賠償を受けられないことになります。
これに対し、5:5であれば、AとBそれぞれが、相手の損害額の5割を賠償することになります。
過失割合により賠償額が異なってしまうため、過失割合についての検討は必須となります。
これまでの事故の裁判例などを踏まえ、事故を類型化し、類型ごとに過失割合を定めるようにして、不公平が生じないようにする対策がとられていますが、事故の中には、上記の類型に当てはまらない事故もそれなりにあります。
このような場合には、最終的に裁判所に判断してもらう必要があるため、裁判とする必要があります。
⑶ 後遺障害等級に争いがある場合
高次脳機能障害であることが認定されると、後遺障害として認定され、その障害の程度に応じて後遺障害等級が定められることになります。
高次脳機能障害による後遺障害の等級は、頸椎捻挫などと比べ、障害の程度が重い等級がつくことが多いのですが、その分、等級の違いによって、賠償額に大きな差が出ることになります。
また、等級を定めるに当たっては、数値で測定が可能な関節の可動域の制限などと異なり、どの程度、生活や労働能力に支障を来しているかという目に見えにくい事項が対象となるため、争いとなりやすい面があります。
賠償の金額に大きな差が出ることと、認定が難しいことの2つの理由により、裁判となってしまうことがあります。
3 まとめ
費用や時間の点だけからすれば、裁判まで至らずに示談にて終了することが望ましいですが、上記のとおり、裁判で解決せざるを得ない場合があります。
お困りの場合は、ぜひ当事務所までご相談ください。
高次脳機能障害における後遺障害等級と後遺障害慰謝料
1 高次脳機能障害と診断されたら
交通事故に遭い、頭部を負傷し、脳に損傷が生じたことで認知機能等に障害が生じた場合に高次脳機能障害と診断され、高次脳機能障害の症状が、治療を受けても残ってしてしまうことがあります。
高次脳機能障害が残った場合、後遺障害等級認定の申請を行うと、障害の程度に合わせた後遺障害の等級が認定され、障害の程度に合わせた後遺障害慰謝料や後遺障害逸失利益などの賠償を受けられます。
2 高次脳機能障害で認定される可能性がある等級
高次脳機能障害の等級には、1級1号、2級1号、3級3号、5級2号、7級4号、9級10号といった種類があります。
1級1号は「神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの」
2級1号は「神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの」
3級3号は「神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの」
5級2号は「神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの」
7級4号は「神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの」
9級10号は「神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの」
と言える場合に認定されます。
3 後遺障害等級と後遺障害慰謝料の金額
上記後遺障害等級が認定された場合の後遺障害慰謝料の裁判基準(赤い本)に照らした目安の金額は以下のとおりです。
- ⑴ 1級1号 2800万円
- ⑵ 2級1号 2370万円
- ⑶ 3級3号 1990万円
- ⑷ 5級2号 1400万円
- ⑸ 7級4号 1000万円
- ⑹ 9級10号 690万円
高次脳機能障害についてどの等級が認定されるのかで賠償金額が大きく変わります。
4 高次脳機能障害と診断されたら当法人にご相談ください
当法人は、高次脳機能障害の後遺障害等級認定の申請に力を入れており、豊富な経験があります。
高次脳機能障害と診断され、後遺障害について心配な方は、ぜひ弁護士法人心 東京法律事務所までご相談ください。
高次脳機能障害による逸失利益
1 高次脳機能障害と逸失利益
事故時の頭部への受傷が原因となって高次脳機能障害の後遺障害が残った場合、後遺障害の程度(等級)に応じ、労働能力の低下や喪失が生じるものとされています。
そして、症状固定時(治療を継続しても、今後の改善が見込まれないとされた時点)において、被害者が労働に従事し、あるいは将来従事することが予定されていた場合(例:被害者が未成年者である場合など)には、後遺障害がなかった場合と比較して、労働能力の低下及びこれに伴う減収が生じることとなります。
この減収を逸失利益(後遺障害が残らなければ得られたであろう利益)といいます。
2 逸失利益の算定方法について
高次脳機能障害による障害等級は、障害の程度により、1級ないし3級、5級、7級及び9級のいずれかに該当するとされています(自賠責の基準。労災の基準では、さらに12級及び14級にも該当する場合があるとされています。)。
そして、各等級ごとに、所定の労働能力喪失率が規定されていることから(1級ないし3級は100%、5級は79%、7級は56%、9級は35%)、特段の事情がない場合、事故前の被害者の年収に、労働能力喪失率及び労働能力喪失期間に応じたライプニッツ係数をそれぞれ乗じて、逸失利益を算定するのが一般的です。
ライプニッツ係数とは、将来の利益を先取りすることに伴う利得分(中間利息)を調整するための係数です。
例えば、5年間の労働能力喪失期間がある場合、年収×5年間(5倍)の金額が逸失利益となるのではなく、ライプニッツ係数(5年間の場合、令和2年4月1日以降に生じた事故であれば4.5797)を乗じることにより、上記5年間(5倍)を乗じるよりも少ない金額にとどまります。
上記の算定方法は、従前、被害者が就労し収入を得ていた場合に行われる算定方法ですが、業務や職場の特殊性などにより、後遺障害があるにもかかわらず、減収が生じなかった場合にも、逸失利益は発生するでしょうか。
上記の場合は、事故前後の減収が生じていないことから、逸失利益は発生しないのではないかが問題となります。
これについては、手がかりとなる2つの最高裁判例があり、要約すると、上記の原則のとおり、減収の存在が逸失利益発生の要件である(減収の事実がないのであれば逸失利益は発生しない)としつつも、減収が生じていない理由が本人の努力など事故とは別の原因にあり(例:雇い主の特段の配慮など)、この原因がなければ減収が生じていたと認められる場合や、職業の性質に照らし、将来的に昇給、昇任等に対して不利益を受けるおそれがある場合など、後遺障害により被害者に経済的不利益が生じる特段の事情がある場合には、減収の事実がなくとも逸失利益の発生を認める、とされています。
ただし、実務では、減収がなくとも逸失利益を認めるとした場合、労働能力喪失率について、通常の基準よりも低い喪失率(例:9級では35%であるところ、これを20%として算定するなど。)とすることで、損害(金額)を抑えることが多いようです。
3 まとめ
逸失利益の算定に際しては、上記のとおり、将来の予測など立証が容易ではない事項についての検討が必要となることがあります。
当法人には、東京の事務所をはじめとして、上記算定に対応することができる弁護士及びスタッフがおりますので、お困りの際は、ぜひ私たちにご相談ください。
高次脳機能障害について弁護士に相談するタイミング
1 弁護士に相談する時期について
高次脳機能障害について、弁護士に相談するタイミングは、事故により、頭部に重大な傷害(脳挫傷、自然に治癒する見込みのない脳内出血など)を負った時点が最も望ましいと考えます。
次に、「被害者の異常な言動」が現れたときであり、最後が、後遺障害の申請を行うとき、となります。
しかし、以下の理由により、弁護士への相談は、できるだけ早い時期にすることをおすすめします。
2 高次脳機能障害が認定されるためのポイントについて
⑴ 後遺障害の認定を受けるためには
自動車賠償責任保険(以下「自賠責保険」といいます。)においては、事故による高次脳機能障害を原因とする後遺障害であるとの認定受けるためには、以下の要素が重要とされています。
- ア 交通外傷による脳の受傷を裏付ける画像検査の結果(画像データ)があること
- イ 一定期間の意識障害が継続したこと
- ウ 被害者に、一定の異常な言動が生じていること
⑵ 画像データが重要です
事故により高次脳機能障害が発生したことが認められるためには、上記要件のうち、画像データの存在がもっとも重要です。
交通事故によるけがは、交通事故の際の外力(事故の際の衝撃)が脳を含む身体に作用することにより生じるものであるところ、画像データは、上記身体(脳)への外力の作用を端的に示すものだからです。
⑶ 画像データが存在しない場合
これに対し、脳が受傷したことがわかる画像データが存在しない場合、高次脳機能障害によるものと思われる症状があったとしても、事故が原因で、高次脳機能障害が発生したものと認めることは困難であるとされています。
ただし、例外として、自賠責保険は、事故後の脳全体の萎縮の事実と、事故後3か月程度での萎縮の固定が確認されれば、脳神経の損傷を認めるとの指針を示しています。
上記の指針に該当すると認定されるためには、事故直後の脳の画像と、その後の画像とを比較することにより、脳が萎縮していることを確認する必要があります。
そして、上記の確認を行うためには、事故直後の画像と、その後の画像がそれぞれ撮影されていることが必要です。
いずれにせよ、事故により高次脳機能障害が発生したことを証明するためには、画像の存在は不可欠ということになります。
3 弁護士への早期の相談が必要である理由
⑴ 必要な時期に画像を取得するため
高次脳機能障害の認定に当たり、最も重視される脳の画像について、上記のとおり、事故直後の画像(脳の受傷を裏付けるもの)、あるいは事故から3か月程度経過した時点における脳の萎縮と固定の事実を裏付ける画像が必要です。
しかしながら、上記について、一般的に広く知られているものではないため、弁護士への相談が遅れた場合、必要な時期に画像を取得する(必要な時期に画像を得るための検査や診断を医師に依頼する)ことができない結果、高次脳機能障害の認定がされない場合があります。
弁護士への早期の相談が望ましいとしたのは、上記のような事態を防ぐためです。
⑵ 記録を取得しておくため
後遺障害の認定要件である「一定期間の意識障害が継続したこと」について、医療機関の記録の他に、医療機関に搬送される際の救急隊の記録が根拠となることが多いです。
しかし、その保存期間は5年とされています。
この期間を経過した後に取得しようとした場合は、記録が廃棄されてしまった後であるため、記録の取得ができず、上記意識障害の事実が立証できないことになります。
このような事態を防ぐためには、弁護士に早めに相談し、記録を取得しておくことが必要です。
⑶ 事実を整理して立証するため
後遺障害の認定要件である「被害者に、一定の異常な言動が生じていること」については被害者のご家族による記録が中心となります。
しかしながら、事実を整理して立証する必要があるため、これも、専門家である弁護士に対応を依頼したほうが望ましいといえます。
高次脳機能障害の後遺障害等級認定とは
1 後遺障害等級認定の目的と役割について
後遺障害等級認定の目的は、自賠責保険会社が交通事故の被害者に対し、後遺障害の内容や程度に応じた賠償金を支払うために行われます。
自賠責保険会社が支払う賠償金は、認定された後遺障害等級によって決まるので、まず、被害者の残存症状がどのような後遺障害に該当するのか判断する必要があるのです。
後遺障害等級該当性について調査・判断しているのは、損害保険料率算出機構です。
損害保険料率算出機構は、保険会社から送付された請求書類に基づいて、公正かつ中立的な立場で調査し、その結果を保険会社に報告し、保険会社は、調査結果に基づいて支払額を決定し、請求者に支払います。
自賠責保険会社と損害保険料率算出機構は、被害者救済の観点から、後遺障害等級を認定し、公正で迅速な賠償金の支払いをする役割を担っています。
2 高次脳機能障害における後遺障害等級について
高次脳機能障害における自賠責保険の後遺障害等級認定基準は、労災保険の障害等級表の「神経系統の機能又は精神の障害」の系列の各等級に準拠しており、その症状に応じて、下表のとおり、6の等級(1級1号、2級1号、3級3号、5級2号、7級4号、9級10号)に分類されています(自動車損害賠償保障法施行令2条の別表第一と別表第二)。
等級 | 障害等級認定基準 | 補足的な考え方 |
(別表第一) 1級1号 |
神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの | 身体機能は残存しているが高度の痴呆があるために、生活維持に必要な身の回り動作に全面的介護を要するもの |
(別表第一) 2級1号 |
神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの | 著しい判断力の低下や情動の不安定などがあって、一人で外出することができず、日常の生活範囲は自宅内に限定されている。身体動作的には排泄、食事などの活動を行うことができても、生命維持に必要な身辺動作に、家族からの声掛けや看視を欠かすことができないもの |
(別表第二) 3級3号 |
神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの | 自宅周辺を一人で外出できるなど、日常の生活範囲は自宅に限定されていない。また声掛けや、介助なしでも日常の動作を行える。しかし記憶や注意力、新しいことを学習する能力、障害の自己認識、円滑な対人関係維持能力などに著しい障害があって、一般就労が全くできないか、困難なもの |
(別表第二) 5級2号 |
神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの | 単純繰り返し作業などに限定すれば、一般就労も可能。ただし新しい作業を学習できなかったり、環境が変わると作業を継続できなくなるなどの問題がある。このため一般人に比較して作業能力が著しく制限されており、就労の維持には職場の理解と援助を欠かすことができないもの |
(別表第二) 7級4号 |
神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの | 一般就労を維持できるが、作業の手順が悪い、約束を忘れる、ミスが多いなどのことから一般人と同等の作業を行うことができないもの |
(別表第二) 9級10号 |
神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの | 一般就労を維持できるが、問題解決能力などに障害が残り、作業効率や作業持続力などに問題があるもの |
3 等級認定のために留意すべき事項
高次脳機能障害の症状は、医師、被害者本人、被害者の家族や介護者にも見過ごされやすく、被害者の症状の有無や程度を認識することが難しいという特徴があります。
また、高次脳機能障害になった場合の賠償金は、認定される等級が異なると、大きく増減します。
そのため、適切な後遺障害等級を獲得することが重要です。
しかし、高次脳機能障害の後遺障害の内容は、上記の表のとおり、抽象的で曖昧なので、被害者の障害が1級から9級のどの等級に該当するかの判断は、しばしば困難を伴います。
適切な後遺障害等級を獲得するためには、高次脳機能障害に詳しい弁護士にご相談することをおすすめします。
弁護士法人心には、交通事故・後遺障害を得意とする弁護士が多数在籍するのみならず、損害保険料率算出機構で高次脳機能障害の後遺障害等級認定業務に携わった経験をもつスタッフが在籍しています。
高次脳機能障害と診断された被害者やそのご家族は、後遺障害等級認定を申請する前に弁護士法人心にご相談ください。
子どもが高次脳機能障害になった場合の注意点
1 高次脳機能障害の認定
高次脳機能障害が認定されるためには、次の3つのうち少なくとも1つ以上は満たすことが必要とされています。
- ⑴ 交通外傷による脳の受傷を裏付ける画像検査の結果(MRIやCTの画像データ)があること
- ⑵ 一定期間の意識障害が継続したこと
- ⑶ 被害者に一定の異常な言動が生じていること
これらの要件は、子どもの場合でも同じです。
2 子どもの場合の問題点
しかし、子どもの場合には、上記⑶の「被害者に一定の異常な言動が生じていること」や症状固定時期につき、成人と比べ、認定が難しいとの問題があります。
成人の場合は、受傷直後の急性期における症状回復が進んだ後は、目立った回復が認められなくなることが多いことから、受傷後1年以上が経過した段階で、症状固定とし、後遺障害診断書が作成されることが妥当とされています。
しかし、子どもの場合は、障害が比較的軽度の場合には、社会生活への適応の程度を判断するに際し、幼稚園や小学校などの集団生活に入り、そこにおける言動を把握した上でないと、障害の程度につき判断するのは難しいとされています。
また、子どもは、成人と異なり、心身共に発達の途上にあるため、ある時点での障害が、成長後も継続するものかどうか容易には判断できないという問題や、一見、社会常識などに反する言動があったとしても、これが高次脳機能障害によるものか、それとも子ども特有の心身の未熟さによるものか、直ちには判断がつかないという問題もあります。
さらに、高次脳機能障害よって生じる症状は、自閉症、アスペルガー症候群、広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害等の症状と似ていることがあるため、子どもの症状が高次脳機能障害によるものなのか、発達障害等によるものなのかを見極める必要があるという問題もあります。
発達障害は、多くの場合、先天的なものであるのに対し、高次脳機能障害は事故による後天的なものであるため、両者を区別するにあたっては、交通事故の前後によって変わった点がないか注意して観察することが大切になります。
これらのことを考慮した場合、後遺障害の有無及び程度について判断される時点(症状固定日)は、事故発生日より相当経過した後になることがあり、その経過の程度によっては、消滅時効の成否について争われる可能性があります。
交通事故によってケガをした場合の人身損害に関する損害賠償請求権の時効期間は、原則は、事故発生日から5年とされていますが、後遺障害による損害については、症状固定日を時効期間の起算日とすべきとの最高裁の判例があることにより、時効期間の起算日は、事故発生日より後の日となります。
しかし、この場合でも、症状固定日がいつの日かを巡って争いとなり、症状固定日が、事故発生日により近い日とされた場合には、時効期間を経過していると判断される危険が残る可能性があります。
この問題について、裁判例の中には、症状固定日より後の日(高次脳機能障害の確定診断があった日)を消滅時効の起算日としたものがあります。
消滅時効の起算日を判断するに当たっては「被害者において損害賠償請求をすることが可能な状態であったか」が判断要素の一つとなるところ、医師ではない被害者が症状固定となっていることを認識することは困難であるとされたことにより、医師による確定診断日を消滅時効の起算日としたものです。
3 当法人にご相談ください
子どもの症状が高次脳機能障害によるものなのかどうかを判断するにあたっては、事故当時の状況、治療経過や検査結果、事故前後の子どもの様子や発達状況などを検討する必要があり、大人と比べ、より困難な問題が生じることがあります。
当法人には、東京の事務所をはじめとして、高次脳機能障害により生じる様々な問題について対応できる弁護士がおります。
子どもが高次脳機能障害になりお困りの際は、当事務所にご相談ください。
高次脳機能障害の後遺障害等級認定における異議申立て
1 後遺障害等級の申請
交通事故によってケガをし、後遺障害が生じたと考えられる場合、医師が作成した後遺障害診断書等を自動車賠償責任保険(以下「自賠責保険」といいます。)に提出します。
自賠責保険は、残っている症状が後遺障害に該当するかどうか、後遺障害に該当する場合は後遺障害等級の何級に該当するかについて、調査して判断します
そして、通常は、自賠責保険の判断結果をふまえて、被害者の方の具体的な賠償金額を計算することになります。
2 認定結果に不服がある場合
しかし、全ての後遺障害の申請が認められるわけではなく、後遺障害に該当すること自体が否定されたり、後遺障害に該当することは認められても、後遺障害等級が予想していたものより下位のものであった(障害の程度が軽いとされた)、という事態が生じることがあります。
このような場合、異議申立てをして、再度、審査をしてもらうことができるため、自賠責保険の判断に不服がある場合には、異議申立てを行うことを検討することになります。
3 異議申立ての際に留意すべき事項
⑴ 異議申立書の内容
異議申立書の内容として、自覚症状のみを記載した書面を見かけることがありますが、このような書面では、まず異議申立てをしても認められることはありません。
まずは、後遺障害が認定されなかった、あるいは予想された等級とは異なる等級となった理由について、後遺障害の認定に係る自賠責保険からの通知を熟読し、何が足りなかったのかを把握することが必要です。そのうえで、具体的にどのような対応を行っていくか検討することになります。
なお、後遺障害に該当すること自体が否定された場合と、後遺障害に該当すること自体は認められたものの、後遺障害等級が予想と異なる場合とでは、異議申立ての内容や、補充すべき資料が異なってきます。
⑵ 後遺障害に該当すること自体が否定された場合
自賠責保険において、高次脳機能障害が後遺障害として認定されるには、少なくとも次のいずれかの症状が必要であると解されています。
1つ目は、脳挫傷やびまん性軸索損傷、急性硬膜下血腫等のような脳に関する重度の傷病名が確定診断されていることです。
2つ目は、上記の症状が画像所見(特にMRIとCT)で確認できることです。
3つ目は、頭部外傷後の意識障害が6時間以上続いていたこと、もしくは健忘症あるいは軽度意識障害が1週間以上続いていたことです。
申請した高次脳機能障害の症状が後遺障害として認められなかった場合、上記のいずれかの立証が不十分であったことが原因であれば、これらの補充を検討することになります。
⑶ 後遺障害等級が予想と異なる場合
高次脳機能障害による後遺障害がどの等級に該当するかは、高次脳機能障害を原因として、日常生活や就労にどの程度の支障が出ているかによります。
そのため、認定された後遺障害等級が予想していた等級より下位であった場合には、日常生活や就労への支障について、被害者と自賠責保険との間で評価が異なっていないか、異なっている場合にこれを是正するための資料追加ができないか、検討することになります。
4 終わりに
高次脳機能障害の異議申立ては、自賠責保険の判断理由の検討や追加すべき資料の検討など、専門的な検討が必要となります。
当法人は、東京の事務所をはじめとして、交通事故担当チームが交通事故案件を集中的に扱っており、症状固定を含め、高次脳機能障害により生じる様々な問題について多くの経験、ノウハウを蓄積しております。
また、当法人には、自賠責保険の後遺障害認定業務に携わったことのある者も所属しており、後遺障害の申請をサポートする体制を整えております。
高次脳機能障害でお困りの際は、当事務所にぜひ、ご相談ください。
高次脳機能障害について相談する弁護士を選ぶポイント
1 弁護士を選ぶポイント
⑴ 高次脳機能障害について詳しいか
高次脳機能障害を原因とする損害賠償請求をするためには、他の交通事故によるけがとは異なる、高次脳機能障害特有の事項があります。
高次脳機能障害について相談しようとする弁護士が、高次脳機能障害特有の事項について、きちんと把握していることが必要になります。
弁護士に相談をする際、「どのような証拠があれば、高次脳機能障害と認定されるのですか」等と質問し、高次脳機能障害が認定されるための要件を説明できるかどうかを確認するとよいかと思います。
また、事務所の中に、高次脳機能障害について対応したことのある弁護士がいれば、安心して任せることができます。
事務所のホームページやパンフレットに、高次脳機能障害について個別の記載があれば、事務所として対応できる可能性が高くなります。
⑵ 弁護士との相性
高次脳機能障害について後遺障害の申請を行う場合には、申請の準備のために弁護士とやり取りすることもあるため、弁護士を選ぶにあたっては、その弁護士と円滑にコミュニケーションを取れるかどうかも重要になります。
最近は、無料での法律相談に対応している弁護士や法律事務所も増えているので、そのような相談を活用して、その弁護士とのコミュニケーションに支障がないかもあわせて確認するとよいと思います。
2 高次脳機能障害における特有の事項
⑴ 高次脳機能障害が認定されるための要件
自動車賠償責任保険において、事故により、高次脳機能障害を原因とする後遺障害が生じたものと認められるためには、少なくとも次のいずれかの状況が必要であるといわれています。
- ア 脳挫傷、びまん性軸索損傷、急性硬膜下血腫、脳内出血等の頭部外傷の傷病があること
- イ アの症状がMRI、CT等の画像で確認できること
- ウ 当初の意識障害が6時間以上続いていること、または健忘・軽度意識障害が1週間以上続いていること
⑵ 上記要件を踏まえた弁護士の対応
弁護士としては、高次脳機能障害を原因とする後遺障害として認定してもらえるよう、主に以下の対応をします。
- ア 脳の画像を含む医療記録の取り寄せ及び精査
- イ 一定期間の意識障害が継続したことについて、救急搬送時の救急隊の消防記録や、医療機関の記録(カルテ、看護記録など)の取り寄せ及び精査
これらの資料の取り寄せについては、取り寄せ依頼をした病院の対応によっては、弁護士会を通じての照会(資料取り寄せ、問い合わせなど)を経なければならない場合があり、この場合は弁護士のみが資料の取り寄せをすることができることになります。
また、高次脳機能障害を原因とする後遺障害として認定してもらうためには、被害者の事故前後の状況や事故後に生じている症状等を記録して整理することも重要になります。
これらの記録化にあたっては、被害者のご家族等の協力を得て、事故後の被害者の異常な言動等を記録し、これを整理、分類するなど精査し、被害者の症状等が交通事故によって生じていること、後遺障害がない場合と比べ、就労可能な職業が限られていたり、労働能力の低下が生じていること等を立証します。
3 弁護士によって違いが出る
上記のとおり、高次脳機能障害を原因とする賠償請求をするためには、専門的な知見が必要となります。
高次脳機能障害について弁護士に相談する場合、その弁護士が上記2の要件や手順について把握しているかどうかによって大きな違いが出てきます。
そのため、高次脳機能障害について相談する弁護士を選ぶにあたっては、慎重に検討することをおすすめします。
4 当法人は高次脳機能障害に対応しています
当法人は、交通事故担当チームを設け、東京の事務所をはじめとして、高次脳機能障害に対応できる弁護士及びスタッフが交通事故案件を集中的に取り扱っており、多くの知識やノウハウを蓄積しています。
また、スタッフの中には、自動車賠償責任保険において後遺障害の認定業務に携わっていた者もおり、高次脳機能障害による後遺障害の申請をサポートする体制をとっております。
高次脳機能障害でお困りの際は、どうぞ当法人にご相談ください。
高次脳機能障害とは
1 高次脳機能障害とは
高次脳機能とは、認知や記憶をする、判断をする、注意を払う等、大脳の連合野皮質によって営まれる高度な脳の働きのことです。
高次脳機能障害とは、病気や頭のケガ等が原因で脳が損傷を受けることによって、注意、記憶、判断といった高度な脳の働きに支障をきたした状態をいいます。
2 交通事故の後遺障害の対象となる高次脳機能障害とは
脳が損傷を受ける原因は、脳卒中、脳梗塞、脳炎、パーキンソン病、アルツハイマー病、統合失調症等さまざまですが、自賠責保険における後遺障害の対象となる高次脳機能障害は、交通事故によって脳の器質的損傷が発生した場合をさします。
脳外傷以外の原因による高次脳機能障害とは区別するため、「脳外傷による高次脳機能障害」という呼び方がされることもあります。
後遺障害の対象となる「脳外傷による高次脳機能障害」とは、交通事故によって、脳外傷(脳損傷)を負い、意識障害が一定期間継続した被害者について、認知障害、行動障害、人格障害等が認められ、仕事や日常生活に支障をきたす障害です。
3 高次脳機能障害の典型的な症状
高次脳機能障害の典型的な症状は、以下のようなものです。
⑴ 認知障害
- ・新しいことを覚えられない
- ・注意力が持続せず、気が散りやすい
- ・行動を計画して実行することができない
⑵ 行動障害
- ・周囲の状況に合わせた適切な行動ができない
- ・複数のことを同時に処理することができない
- ・物事を段取りよく進めることができない
- ・こだわりが強く、予定外のことに対応できない
- ・職場や社会のマナーやルールを守ることができない
- ・話が回りくどく要点を相手に伝えることができない
- ・行動を抑制できない
- ・危険を察知して回避することができない
⑶ 人格変化
- ・怒りっぽくなった
- ・気分が変わりやすくなった
- ・自発的に行動することができなくなった
- ・気力の低下がみられる
- ・他人に対する関心を失った
- ・自己中心的になった
- ・ギャンブルにのめりこむようになった
- ・浪費するようになった
4 高次脳機能障害は「目に見えない障害」
高次脳機能障害は、症状が現れていても、外見上は目立たず、周囲から理解されにくいため、「目に見えない障害」といわれることもあります。
医師、被害者本人、被害者の家族や介護者によっても見過ごされやすい障害なのです。
そのため、交通事故によって意識障害をともなう脳損傷を負った場合には、家族など周りの方が、事故前と事故後で変わった点等がないか注意して見守るようにしてください。
そして、思い当たる症状があれば、すぐに受診して、医師に症状を伝えるとともにMRI検査やCT検査を受けることが重要です。
5 高次脳機能障害は早めに弁護士に相談を
交通事故によって高次脳機能障害が生じた場合、後遺障害の申請を行うことも多いため、事故直後から必要な検査を受けるとともに、症状等をしっかりと記録することが重要になります。
これらの対応が不十分な場合、適切な後遺障害等級が認定されないこともあるため、高次脳機能障害の可能性がある場合には、早めに弁護士に相談することをお勧めします。
高次脳機能障害の後遺障害認定に必要な資料
1 高次脳機能障害の後遺障害認定機関
高次脳機能障害の後遺障害等級は、申請すれば認定されるものではなく、等級認定機関である損害保険料率算出機構内に設置された専門医等を構成員とする「自賠責保険(共済)審査会 高次脳機能障害専門部会」において、各種資料に基づき、慎重に調査して認定されます。
2 高次脳機能障害の後遺障害認定に必要な資料
高次脳機能障害の後遺障害認定に必要な資料は、次のとおりです。
<他の後遺障害と共通の資料>
資料 | 作成者(発行機関) |
損害賠償額支払請求書 | 請求者(代筆可) |
交通事故証明書 | 自動車安全運転センター |
事故発生状況報告書 | 請求者(代筆可) |
診断書・診療報酬明細書 (事故発生から治療終了まで) |
診察した医師 |
通院交通費明細書 | 請求者(代筆可) |
休業損害証明書 | 勤務先 |
後遺障害診断書 | 診察した医師 |
請求者の印鑑証明書 | 印鑑登録をした市区町村 |
<高次脳機能障害の後遺障害認定に必要な資料>
資料 | 作成者(発行機関) |
頭部の画像検査資料(CT、MRI等) | 治療を受けた医療機関 |
頭部外傷後の意識障害についての所見 | 診察した医師 |
神経系統の障害に関する医学的意見 | 診察した医師 |
日常生活状況報告 | 被害者の家族や介護者 |
高次脳機能障害の後遺障害を認定するには、まず、脳外傷の有無や内容を調査するため、頭部の画像検査資料(CT、MRI等)が必要です。
次に、意識障害の有無や程度を調査するため、「頭部外傷後の意識障害についての所見」が必要です。
さらに、高次脳機能障害は1級から9級までの6段階に分かれており、どの等級に該当するかを調査するため、被害者の日常生活や精神活動に関する具体的な状況について記載された神経系統の障害に関する医学的意見」と「日常生活状況報告」が必要です。
被害者に残存する症状によって仕事や日常生活に支障をきたす程度に応じて、後遺障害等級が認定されるためです。
3 弁護士にご相談くさだい
「神経系統の障害に関する医学的意見」と「日常生活状況報告」は、客観的判断に従って記載することが難しく、記載内容を誤ると、被害者に残存した症状について正確に把握されることなく、本来、認定されるべき等級より不当に低い等級にとどまってしまう危険があります。
そういった事態を回避できるように、高次脳機能障害が疑われたり、高次脳機能障害の後遺障害を申請するときは、高次脳機能障害に精通した弁護士にご相談ください。
高次脳機能障害の後遺障害等級と自賠責の保険金額
1 後遺障害の対象となる高次脳機能障害とは
自賠責保険による後遺障害の対象となる高次脳機能障害は、交通事故によって、脳外傷(脳損傷)を負い、意識障害が一定期間継続した被害者について、認知障害、行動障害、人格障害等が認められ、仕事や日常生活に支障をきたす障害をいいます。
脳外傷による高次脳機能障害が残存した場合、自賠責保険に対して後遺障害の申請をして後遺障害等級が認定されると、一定の保険金が支払われます。
2 高次脳機能障害の後遺障害等級
高次脳機能障害の後遺障害等級の内容とその保険金額は、次の【表】のとおり、自動車損害賠償保障法施行令2条の別表第一と別表第二に定められています。
【表】中の「後遺障害」欄のように障害の程度に応じて6段階の等級に分類し、認定された等級に応じた「保険金額」を上限として保険金が支払われます。
【表】
等級 | 後遺障害 | 保険金額 |
(別表第一) 1級1号 |
神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの | 4,000万円 |
(別表第一) 2級1号 |
神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの | 3,000万円 |
(別表第二) 3級3号 |
神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの | 2,219万円 |
(別表第二) 5級2号 |
神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの | 1,574万円 |
(別表第二) 7級4号 |
神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの | 1,051万円 |
(別表第二) 9級10号 |
神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの | 616万円 |
3 高次脳機能障害の疑いがある場合の対応
自賠責保険において、高次脳機能障害が後遺障害として認定されるには、少なくとも次のいずれかの症状が必要であると解されています。
1つ目は、脳挫傷やびまん性軸索損傷、急性硬膜下血腫等のような脳に関する重度の傷病名が確定診断されていることです。
2つ目は、上記の症状が画像所見(特にMRIとCT)で確認できることです。
3つ目は、頭部外傷後の意識障害が6時間以上続いていたこと、または健忘症あるいは軽度意識障害が1週間以上続いていたことです。
このように、高次脳機能障害が後遺障害として認定されるかどうかは、事故直後の状況等が重要であるため、事故後に速やかに必要な検査を行い、記録として残しておくことが必要になります。
また、高次脳機能障害は、被害者本人が気付かないこともあるため、同居の家族など、周囲の方が注意して見守り、事故前と変わった点や気になる点があれば、きちんと記録を残しておくことも重要になります。
4 高次脳機能障害に詳しい弁護士にご相談ください
高次脳機能障害の症状は、医師、被害者本人、被害者の家族や介護者にも見過ごされやすく、被害者の症状の有無や程度を認識することが難しいという特徴があります。
さらに、高次脳機能障害の後遺障害の内容は、上記の【表】のとおり、抽象的で曖昧なため、被害者の障害が1級から9級のどの等級に該当するかの判断は、しばしば困難を伴います。
被害者の症状の内容と、症状により仕事や日常生活に支障をきたす程度に応じて等級が左右されるため、適切な等級が認定されるためには、高次脳機能障害に詳しい弁護士に相談することをおすすめします。